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スタジオ Fとは

 スタジオFは、岐阜県笠原町の藤井医院の敷地に建てられた
プライベート・スタジオ兼コンサート会場です。
オーナーは藤井医院院長の藤井修照医学博士。

 愛するジャズ振興のため、また地域文化の向上をめざし、
タイル生産日本一の地元、笠原を音楽を通してPRするために
医院の施設を開放して企画、運営をされています。

 このスタジオの由来をよくよくつきつめてみますと、
ジャズドラマー森山威男氏の唯一の『弟子』である藤井氏が
中央から身を退いてしまった森山氏のために建設したスタジオ
といっても良いかも知れません。林栄一、板橋文夫らとの
傑作アルバム『マナ』『オーバー・ザ・レインボウ』、
マル・ウォルドロンとのデュオ・アルバム『デュアル』など
このスタジオでの彼の録音がそれを物語っています。

 森山氏のみならず、このスタジオの常連メンバーは
枚挙にいとまありません。後藤芳子、伊藤君子、鈴木宏昌、
佐藤充彦、山下洋輔、秋吉敏子、ルー・タバキン、菊地雅章、
エディ・ゴメス、ジミー・コブ、ロニー・マシューズなど
複数回このスタジオでコンサートを行ったミュージシャンは、
ぱっと思い出しただけでまだまだ出てきます。
そしてこの人たちが 口をそろえておっしゃるのは、
まず第一にスタジオの音が良いこと、
そしてお客さんの質が非常に高いことです。

 このスタジオの竣工以来、藤井先生は一度も空調のスイッチを
切っていません。2台のヤマハ製グランドピアノの
コンディションは常にベストに保たれています。
2台のコンサートピアノが常備されている個人スタジオは
そう多くはないでしょう。鈴木宏昌、佐藤充彦のデュオ、
マル/マラ・ウォルドロンの親子デュオ・コンサートはそんな環境で
実現しました。菊地雅章氏はある日ぶらっとスタジオを訪れ、
ひとりでスタジオに篭って練習しながら自分でそれを録音し、
藤井先生に「僕の最高傑作はこのとき自分で録音した
テープなんだよ。」と言った由。CD録音の際に度々お世話に
なるのは、及川公生氏。氏もこのスタジオがお気に入りの一人で、
藤井先生は氏のアドバイスを取り入れ、
日々スタジオの改善にも取り組んでいます。

 スタジオはタイルなど窒業で有名な笠原町という町にありますが、
ここはあまり交通の便はよくありません。
多治見からバスまたはタクシーか、マイカーで来る
しかないのですが、熱心なファンは全国津々浦々から
このスタジオを訪れます。年齢層も比較的高いのですが、
演奏への反応は非常にホットです。
ミュージシャンはそういった真摯な観客を肌で感じるのか、
コンサートは常にハイレベルのパフォーマンスを
期待できるのです。

 また、忘れてはならないのがこのスタジオを支える
ボランティアの人達の陰の努力です。
藤井先生の人柄によるところが大きいのですが、
チケットの受け付け、駐車場整理、会場のセッティング、
PA、照明、エトセトラこれは皆ボランティアの人達に
支えられて運営されています。そういった光景はNHKや
岐阜テレビのニュースなどにも取り上げられたりしていますが、
休憩時にふるまわれるコーヒーやお酒、お菓子などにも
スタジオFの「まごころ」が感じられ、
このコンサートが利益を求めたものではなく、
ミュージシャンとお客さんのためのコンサートであることが
一度訪れた人にはおわかりになると思います。

 決してゆったりした椅子が用意されているわけでもなく、
もしかするとかなり窮屈な思いをされるかもしれません。
でも、藤井先生は「聞きたい人は無理してでも会場に入って
頂きたい」と我々スタッフの反対にもめげず、
お客様を受け入れてしまいます。(決してそれでコンサートの
赤字が解消されるわけではないのですが)
そして当のご本人は(一番コンサートを楽しみにしているご本人)
必ず立ち見のお客様と一緒に出入り口のところで
背伸びしながら演奏を聞いているのです。

 こんな遠くの小さなコンサート会場ですが、
演奏は極上の一級品ばかりです。
ぜひ一度お立ち寄りください。

記:ボランティアのひとり。 児谷 正俊
(照明係兼カメラ兼ビデオ兼広報兼通訳兼雑用係兼東京駐在)


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