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スイングジャーナル 2002年9月号より
What's up now! SJホット・インタビュー
Lew Tabackin / ルー・タバキン(フルート、テナーサックス)

 

我々の中にも
狸が居る様な気がしますね

 「私が一番最初に日本に行った時、京都に行きました。そこでほとんどの飲み屋の前に狸の焼き物が置かれていて、トシコから、日本での昔から伝えられている話しを聞いて、大変なユーモアを感じ、また、ある意味では同情をも感じました。この狸のパーソナリティを表現したいと思って作った曲です」と今回のタイトル曲の事を語ってくれた。では何故コルトレーンの曲「ワイズ・ワン」もこんなにも私達日本人をドキッとさせるものになったのだろうか。「コルトレーンのこの曲の演奏にはスピリチュアルな面 が非常に強く感じられます。このスピリチュアルな面と、コルトレーンのアフロ民族アプローチに対して、私は禅哲学の様なものを感じます。森の中の木を切る音とか、そう云った無音の音(エコーと申しますか)、その様な禅哲学からアプローチするプレイがこの曲には自然に感じられ、特に聴衆者達からの集中されたエネルギーを感じる時には、私を無上の演奏状態にしてくれます」。

 

 彼のサウンドには、何か私たちの心の中が見透かされているような日本的感性を感じる。彼は「尺八は5つの穴しかないからこそ表現力が深い」と言っていたが、彼のフルートには尺八と同じような深い響きと表現力を感じる。

 トリオ(俗に言うピアノレス・トリオ)が完成された編成だと彼は言う。サックスの場合は他の編成も聴いてみたいが、フルートの場合「トリオ」は確かに最高の編成だと言える。音数(おとかず)が少なく、空間が多い分、フルートの表現の隅々まで伝わってくる。フルートに的を絞った今回のアルバム『タヌキズ・ナイト・アウト』は多くを物語っている。

 プロデューサーの藤井氏に聞いた話だが、刺身を食べた時、スタッフ(日本人)は全員間違えて、ルーだけ「平政」と当てたそうだ。ルーは本当に奥が深い。  最後に一言「我々の中にも狸が居る様な気がしますね」と。
( 澤井恭輔)

 


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